MP3でCDが売れなくなるって? 違う。MP3であることで,そして共有され続けることで,その曲の価値は,無限大にまで大きくなる。その無限大の価値に,人々はお金を出す。間違いない。
私がレコード業界の重役だったら,ナップスターでうちが販売している音楽を求めているファンを相手に,なにか商品を売り込むだろう。どんな形であろうと,音楽を聴いて気に入れば,人々は商品を購入する。物的財産は希少であるほど価値が上がるが,知的財産は増えれば増えるほど価値が上がる。ナップスターが死んでも技術は生き残る。もう後戻りはできない。ビデオデッキを殺そうとした映画業界がビデオとともに生きているように,レコード会社も変わる必要がある。
記事中にある,物的財産と知的財産の価値の相違は面白い。すべての人がいい音楽だと思い,無料でナップスターでダウンロードした曲があるとする。それはミリオンセラーがどうしたとかそんな小さな話とは次元が違う。何億というその曲のファイルが人々の間を自由に行き来する。その「価値」がいかに大きいことか。そして,_そこ_から得ることになる収入は,CD100万枚売ったものなどとは比べ物にならないのがわかるだろう。世界が変われば,価値も変わるのだ。そして,世界はすでに次のプラットへと移っている。ついてこれないのなら,置いていくだけだ。
ナップスター社については,7月からとも噂されるリビジョン・ナップの話が伝わってくる。MP3ファイルを,MP3フォーマットを拡張した「ナップファイル」に変換し,著作権が確認されるものはそのファイルを共有することはできなくなる。で,ナップファイルはナップスターで再生できる。基本的にはMP3ファイルなので,共有を阻止する以外の利用は可能,とも思われるが,さてどうだろう。この話はガセの可能性が大きいし,なにより独自フォーマットによる不便さはナップスター社も,そしてみんなも知っている。みんなMP3は大好きだが,NAPファイルを好きになるかどうかはわからない。なにより,本当の価値を造れるのは,MP3以外には考えられなくなっている。…さて,ナップスターが,ナップスターでいられるかの瀬戸際としての,夏が来る。
|